5本から始まったのぼり旗は、今では100本に。毎年、応援の準備は12月末から徐々に始め、2日の朝7時から100本の旗を立て始める。20名前後で、かじかむ寒さのなかで立てる。順番は決まっていて、往路は初出場の大学を先頭にする。
「順位がどうでも、ここに来たときにいちばんに自分の大学の名前が見えたら励みになるんじゃないかな、と。復路は、往路の順位の順番です」(高田さん)
旗以外にも、当日はもちや甘酒を配るなど、観客たちももてなす。2日間で15kgのもちがなくなり、甘酒は1日で1500杯出る年もある。
「元日の夜に、夫と15kgのもち米を洗っておきます。2日の朝、7時に集合し て、まずはリビングと玄関の間の仕切りを取って広くした18畳ほどのスペースに、10合炊きと12合炊きの土鍋を7つ並べて、一気に炊きあげて、5回にわけて臼でもちをつきます。ついたら、みんなで丸めておしょうゆときなこをつけて小さなトレーに並べる。人気があるんですよ。並行して甘酒も15kg分を寸胴でぐつぐつ煮ます。紙コップを1500個用意したのに、1日目で足りなくなった年もありました」(高田さん)
当日は、地元の子供たちが太鼓や笛の祭囃子を演奏したり、抽選会を開催して各大学から寄贈された「駅伝グッズ」をプレゼントするイベントも。終わった後の片づけや掃除も高田さんたちの仕事だ。「正直、準備はかなりハードでしんどい」と話す高田さんだが、それでも活動を続けるのは、“箱根駅伝が好き”だから。
「箱根駅伝が近づくと、明け方のまだ真っ暗な時間に、うちの前を走っていくかたがちらほらいます。選手さんなんでしょうね。2日の日もあの子はここを走るのかなぁって思うと、箱根駅伝って本当にいいですよね。大変ですが、毎年の積み重ねで“箱根駅伝そのもの”が好きになったんです。どこの大学を応援するとかそういうのではなく、これからもすべてを応援したい」(高田さん)
※女性セブン2016年1月21日号