スポーツ

箱根駅伝 完全中継貢献の74才・元プロデューサーの奮闘と矜持

 正月の恒例行事といえば、箱根駅伝。毎年、中継を固唾を飲んで見守るというファンも少なくないだろう。箱根駅伝が開始した年は1920年だが、完全生中継が始まったのは1987年だ。

 その箱根駅伝完全生中継生みの親は、元日本テレビプロデューサーの坂田信久さん(74才)。生中継実現には大きなドラマがあったというが、本人から箱根駅伝に込めた思いやその中継の舞台裏について聞いた。

 * * *
 入社1年目に箱根駅伝を取材して、素晴らしいレースだと感じ、中継をしたい! と思いました。お正月はお笑い番組や歌番組ばかりだから、そうしたなかで若者のはつらつとした姿を放送すれば、そのレースに感動する人は絶対にたくさんいると思ったんです。

 でも、当時は技術が追いついていなかった。200kmを超えるコース、ましてや山の上を走ります。電波というのは、葉っぱが1枚間に入っても遮られてしま う。箱根の山をテレビが制することは不可能に近かった。だからこそ、中継したい、という私の思いは20年近く心の中にずっとあるものだった。

 そうした中で、技術も進歩し、同時にマラソンブームが起きて、イベントの数も中継の数も増えました。そこで考えたのが、今も続いている「今昔物語」。うまく中継できない区間の間はそれまでの過去の話や、出場選手の秘話などを流そう、と思い当たりました。箱根駅伝というのは、感動する話やドラマチックなことが詰まっている。

 それを事前に取材、編集してつなごうと決めたんです。そして1986年の春に企画書を 出し、6月に実現することが決まりました。“箱根駅伝は関東の大会じゃないか”という声も上がりましたが、それは違う。走っている選手は全国から来ています。その出身地もしっかり字幕を入れる、そうすることで出身地の人も喜ぶ、そう言って説得しましたね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン