国際情報

韓国ロビー工作で米国人に「残酷非道な日本人」の印象増した

米グレンデール市に設置された慰安婦像 Yonhap/AFLO

 ユネスコ世界記憶遺産に南京大虐殺関連史料が登録された。来年(2017年)の「慰安婦関連史料」登録阻止のために何をすべきなのか。わが国が直面する課題を考える。
 
 1990年代、朝日新聞が旧日本軍の「慰安婦強制連行」を大々的に報じると、韓国では「元慰安婦」が続々と名乗りを上げた。以後、彼女たちは「日本軍は朝鮮の若い娘を暴力で脅し、慰安所に連行して性奴隷にした」との主張を繰り返し、日本への謝罪と賠償を求め続けている。
 
 自身の不遇を訴え泣き叫ぶ彼女たちの姿はメディアを通じて世界中に発信され、国際的な関心事となった。その間、日本政府が毅然とした対応を取らなかったことで、事態はさらに悪化した。
 
 1991年、韓国の元慰安婦3人が謝罪と補償を求め日本政府を提訴すると、政府は慰安婦問題の調査を開始。1993年8月、十分な調査がなされないまま当時の内閣官房長官・河野洋平氏が旧日本軍の関与と強制性を認める「河野談話」を発表し陳謝した。これが決定打となり、慰安婦問題は外交カードとして韓国に利用されるようになる。
 
 その後、韓国は米国をはじめとする国際社会に執拗なロビー工作を展開。1996年2月には「慰安婦=性奴隷」と定義する「女性への暴力に関する特別報告」(通称=クマラスワミ報告書)が国連人権委員会に提出され、日本政府による被害者への賠償などが勧告された。以後も国連ではたびたび慰安婦問題が提起され、「慰安婦制度は奴隷制度」、「慰安所は収容所」、「慰安婦は性奴隷」という誤った認識が国際社会に定着してしまった。

 2007年になると、日系米国人のマイク・ホンダ議員を中心に、「慰安婦問題に対する日本の謝罪要求決議案(慰安婦非難決議案)」が米下院に提出され可決された。これにより、多くの米国人に「女性の人権を無視した残酷非道な日本人」のイメージが植えつけられたことは間違いない。
 
 米国では、最もポピュラーな歴史教科書に「日本軍は14~20歳の女性を強制徴用し、慰安所で売春婦として働かせた」との記述があり、2011年以降は在米韓国・中国人の働きかけによって米国の各地に慰安婦碑や慰安婦像が設置されている。日本の名誉と国益を損なうプロパガンダは今も着々と進行中だ。

※SAPIO2016年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン