国内

竹田圭吾氏の死 リツイートで供養させてもらった気になれた

竹田圭吾氏は自身の死を覚悟していたはず

 たとえSNSでのつながりしかない人でも、大きな喪失感を抱えるときがある。コラムニスト・オバタカズユキ氏の実感である。

 * * *
 たとえば、新聞社のサイトでおくやみ記事を拾ってみる。報道日ごとに遡っていくと、こんな並びになる(朝日新聞デジタルより)。

〈1月14日〉
・駒沢大名誉教授の田中良昭さん死去(12日死去)
・落語家の桂春団治さん死去 上方落語の「四天王」(9日死去)
・広瀬方人さん死去 「長崎の証言の会」代表委員(13日死去)

〈1月13日〉
・元ダイヤモンドリース社長の藤田勝久さん死去(昨年12月25日死去)
・作曲家のはやし・こばさん死去 「千と千尋」の河の神役(11日死去)

〈1月12日〉
・元防衛事務次官の吉野実さん死去(9日死去)
・元日産車体会長の上村聡さん死去(7日死去)
・元日本ビジネスコンピューター会長の谷口数造さん死去(4日死亡)
・ダイニック常務の君塚明さん死去(10日死去)
・ぴあ矢内広社長の母・キクさん死去(9日死去)
・中原恒雄さん死去 元住友電気工業副会長(8日死去)

 この3日間だけでも訃報が11件あった。定期購読紙の社会面の下のほうをしばしば見ているから、毎日のように著名な誰かが亡くなっていることは今さら驚くまでもないのだけれど、こうしてネットでまとめて確かめると、イメージ以上にその人数が多いものだと思う。

 上記した訃報の場合、亡くなった翌日に報じられたケースもあれば、数週間経ってからのケースもある。11名のうち、90代で亡くなったのは3名、80代が7名と高齢の方がほとんどだが、ダイニック常務の君塚明氏は享年64。早すぎる死といえるだろう。

 ただ、個人的には、上記のうちショックを受けた訃報はない。大変身勝手な話ではあるが、そもそも存じ上げなかった方や、お名前だけ知っていた方が亡くなっても、深く感じるものはない。その方の訃報が全国紙に載るような著名人であっても、つながりがなければ匿名的な存在なのである。当然のことかもしれないが、世界は自分の知見の中にしかないのだな、などと思う。

 訃報をもう少し遡りたい。1月11日と10日には、4名の著名人のおくやみ記事が流れた。

〈1月11日〉
・英歌手デビッド・ボウイさんが死去 がん闘病の末に(10日死去)
・声楽家の中沢桂さん死去 オペラ「夕鶴」つう役(10日死去)

〈1月10日〉
・ジャーナリストの竹田圭吾さん死去 がん公表しTV出演(10日死去)
・元広島スカウト部長、村上孝雄さん死去 緒方監督ら発掘(8日死去)

 バン! バン! と2発銃弾を食らったかのような衝撃だった。熱心なファンではなかったが、デビッド・ボウイは中高校時代にグラムロックという甘美な表現の存在を教えてくれたシンガーであり、大学受験浪人時代に上映された『戦場のメリークリスマス』の英陸軍少佐役では、坂本龍一とのホモセクシュアルなからみで、まだまだ理解で出来ない世界がいっぱいあることを示してくれた役者であった。思春期・青春期に影響を受けた人物の死には、自分の内臓の一部分を抜き取られたような喪失感がある。ショックだった。

 が、その先日にもっともっと衝撃的な喪失感を味わったばかりだったので、実は「えっ……」と絶句する以上のものにはならなかった。亡くなったその日にニュースとなった竹田圭吾氏の死のショックが尾を引いていたからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン