いよいよ今年の4月から始まる電力自由化。電気代が安くなるなどといわれているが、果たしてどういうことなのか? そもそも、電力会社は必ず変更しなければいけないのだろうか?
これに対しての答えは、多くの企業が、プランを打ち出す中で自由に選べるが、必ず変えなければいけないというわけではないというもの。変える場合も4月までに決める必要はない。『電力自由化入門』(good.book刊)の著者でRAUL代表取締役の江田健二さんは、こう語る。
「マイナンバー同様、作業が遅れています。また、各企業のプランも現段階では出揃っていない。4月以降に発表する企業も多いでしょうから、それから比較して決めても遅くはありません。焦らないほうがいいでしょう」
では、東京に住んでいながら、北海道電力の電気を買うこともできるのだろうか? 実は、“自由に選べる”といっても、地域が限定されているケースもある。既存電力会社は、東京電力を除き現段階で他エリアへの売電を発表していない。新規参入企業でも同様のケースはある。
電気料金比較診断などを行う「エネチェンジ」副社長の巻口守男さんはこう語る。
「東急電鉄さんは、パワーサプライという子会社から電気を売りますが、範囲は東京に限定されています。さらに、決済は東急のクレジットカード、東急ポイントの還元サービスなど、実質的には東急沿線利用者をメインにしているということです」
また、電力会社を変えたら工事が必要なのだろうか? 新規企業が参入しても、基本的に電気は現在ある電線の中を通って各家庭に配電される。そのため、特別な工事などは必要ない。
「ただし、メーターを設置する必要があります。配電された電力は、各家庭が選んだ企業のメーターで管理され、使用分の料金が請求されることになります。メーター設置の作業は15分ほどの簡単なもので、費用もかかりません」(江田さん)
日本の現状はわかったが、海外ではどうなってるのか? 実は、先進諸外国では自由化されている国が多く、日本は“遅れている”と見られていた。