『警視庁ゼロ係』ではあの名優を役作りの参考にした。
「僕が演じる冬彦はトム・ハンクスの持っている雰囲気をイメージしました。例えば『フォレスト・ガンプ』での、台詞がない時に人の話を聞いている佇まいを特に参考にさせてもらいました。ただ、同じような演技にしてしまうと物真似になってしまうので、そこが難しいのですが……」
事前に考えてきたパターンは、「現場で顔合わせをし、演じてみて変えていく」という。
「原作小説の冬彦は嫌味で棘のある人物。だけど、このドラマで求められている冬彦像はちょっと違うな、と。皮肉屋ではなく、理想は『愛される天然』。その辺はあまり意識せず演じようとしています。意識して天然キャラをやってる天然なんていないですから(笑い)」
小泉は今回のドラマで、初めて台本や演出に一歩踏み込んだ。「こうしたほうが良いのでは?」と自分の意見をぶつけたのだ。
「生意気かもしれませんが、監督と相談しながら、台詞を変更したり、削ったりと、自分の意見を取り入れてもらってます。アドリブも随分入れてますしね。こういう欲求が出てきたのは初めて。大きな挑戦をしているドラマですね」
年末年始は父である小泉純一郎・元首相と酒を酌み交わした。
「『下町のあの悪役、いいじゃないか』といってくれたのは嬉しかったですね。今回のドラマも、きっと観てくれると思います」
そういう小泉孝太郎の笑顔は、気負わず、自信に溢れていた。
◆こいずみ・こうたろう/1978年7月10日、神奈川県生まれ。2002年に『初体験』でドラマデビュー。2009年『コールセンターの恋人』でドラマ初主演。2013年、2014年には宮部みゆき原作の連続ドラマ『杉村三郎シリーズ』に主演。現在、バラエティ、CM、ラジオでも活躍中。
取材・文■角山祥道 撮影■江森康之
※週刊ポスト2016年2月5日号