第2次調査委員会においても〈前回の調査委員会から受けた強い恐怖心は、私の心から消えてはいなかった〉ため、〈体調は悪くなる一方〉だったという。
この時には、〈若山研での実験の実態を伝えようと思った〉ものの、〈多くの証拠が詰まっている若山研時代に使っていたメールアドレスはハーバードのもので、すでにアクセスすることができなくなっていた〉と綴っているが、その弁明を調査委員会が相手にしなかったのは当然の対応というほかない。「告白本」でも〈多くの証拠〉は提示されていない。
STAP細胞論文は、万能性に関連する遺伝子の一つが働くと緑色に発光するよう操作したマウスの細胞を使った。理研はSTAP細胞の有無を確かめる検証実験で論文通りの手法を試し、緑色に光る細胞をわずかに確認したが、その多くは死にかけた細胞が発する「自家蛍光」だった。サイエンスジャーナリストの緑慎也氏がいう。
「STAP細胞論文の発表後、多くの専門家が『細胞の発光は自家蛍光なのではないか』と指摘していた。この点について科学的に検証できるような材料を手記に盛り込むべきだった」
小保方氏は理研から60万円の支払いを請求されたことについて〈ネイチャーへの投稿を決めたのはもちろん私ではない〉と責任を転嫁する。ここでも冒頭の〈一連の出来事の責任を、抱えきれないほどに感じ、お詫びの言葉も見つかりません〉との矛盾を感じざるを得ない。
※週刊ポスト2016年2月12日号