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マイナス金利でメガバンク株価急落 貸し渋る銀行の自業自得

 不動産市場やM&Aの活発化など多くの恩恵がある「マイナス金利」導入で、逆に冷や水を浴びせられたのが銀行業界だ。ただ、「そうなったのは自業自得」という声も聞こえてくる。メガバンクの行員が表情を曇らせる。

「なにかしらの政策が発表されるとは思っていましたが、まさかマイナス金利導入とは思いませんでした。29日(1月)はうちの株価も急に下がり始めて、社内は大騒ぎだった」

 導入で日経平均が反騰するなか、メガバンクは大きく値を下げた。2月1日の下落率(前週末比)は三井住友フィナンシャルグループ(FG)が8%、みずほFGが6%、三菱UFJFGは5%に達した。

 マイナス金利は日本経済を刺激し、市場を活性化させるはずだが、なぜ銀行株は売られたのか。今回の決定は銀行にとって「悪夢のサプライズ」になったと話すのが金融ジャーナリストの森岡英樹氏だ。

「マイナス金利は銀行にとっては辛い政策。これまで銀行は所有する国債を日銀に買ってもらい、それで得た資金の多くを今度は日銀に預けて利息をもらうことで安定して利益を上げていたがマイナス金利だと“利息を払う”ので、今後はその手法は取れない。

 さらに金利の低下で、貸し出し業務で得られる利益が減り、収益を圧迫するのではないか。投資家たちはそうした不安を見越して売りに走り、銀行株の下落につながったのでしょう」

 突然吹き荒れた逆風を受け、日本経済新聞(2月2日付)は、「これ以上金利を下げても資金需要は急には増えず、利ざや縮小による影響が収益により大きく出てくる」というメガバンク幹部の「恨み節」を伝えたが、「自業自得ではないか」との声も聞こえる。金融ジャーナリストの小泉深氏がいう。

「そもそも銀行の社会的使命は企業などに適切な融資を行ない、社会全体の健全な経済発展を資金面からサポートすることです。ところがメガバンクはリスクを極端に怖れて新規融資を避け、国債の運用や日銀への預金、投資信託販売などの手数料収入など、『本来の役割』とは違う業務で儲けてきました」

※週刊ポスト2016年2月19日号

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