国際情報

「息を吐くように嘘を吐く」 朴槿恵政権は信用ならない

 慰安婦問題の解決を目指した昨年末の「日韓合意」から1か月余りが過ぎたが、早くも韓国は「日本は約束を破った」と難癖をつけ始めた。約束を破るどころか守ろうとしないのはあちらの方だ。さらには、両国の諍いの象徴・ソウルの日本大使館前の慰安婦像を撤去することになっていたはずなのに、韓国国内では慰安婦像が増殖してもいる。

 ただし、これは当初から予想されたことだ。なぜなら韓国はこれまで何度も約束を破ってきたからだ。

 そもそも、韓国が慰安婦問題を持ち出していること自体が、1965年の「日韓請求権協定」を無視するものだ。当時、日本が5億ドルの経済援助を行なうことで両国と両国民間の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」はずだった。

 しかし、韓国は具体的な請求権の内容が協約にないことに付け込んで、慰安婦問題を「例外」として騒ぎ出したのである。

 現在、日韓で領有権を争っている竹島問題に関してもそうだ。1965年の日韓基本条約締結時に両国がこの問題を「棚上げ」することで合意した。にもかかわらず、韓国は竹島に施設を建設するなど一方的に合意を破棄。2012年には李明博大統領(当時)が上陸パフォーマンスを繰り広げ、火に油を注いだ。

 まだある。昨夏、日本政府がユネスコに推薦した「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録審査を巡り、韓国政府は対象施設の中に、戦時中に強制徴用された労働者がいた事実が記載されていないと主張して反対した。

 その後、外相会談を経て徴用工を含む説明を加えることで韓国側は納得。にもかかわらず、土壇場で「forced labor(強制労働)」という表現を使うようあらたに主張して抗議してきたことは記憶に新しい。結局、「forced to work(働かされた)」と違法性のない文言で表現することで何とか合意した。

 どうしてこうも韓国は約束を守ろうとしないのか。筑波大学大学院の古田博司教授が指摘する。

「韓国には李朝時代から『遷延』という言葉がある。周辺国とのトラブルをのらりくらりとかわして相手が諦めるのを待つ戦術を意味しており、それが今の韓国外交にも貫かれています。アメリカからの圧力があったという見方もありますが、日韓合意そのものが、今年4月の総選挙を有利にするために安倍首相からおわびと謝罪金を引き出したとアピールするためのものでしょう。4月まではやり過ごし、ゆくゆくは反故にしてしまう可能性も十分にある」

 政権維持の為なら国家間の約束も平気で破る。まさに息を吐くように嘘を吐く韓国・朴槿恵政権はやっぱり信用ならない。

※週刊ポスト2016年2月19日号

関連記事

トピックス

ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
1985年、初の日本一は思い出深いと石坂浩二さんは振り返る(写真/共同通信社)
《阪神ファン歴70数年》石坂浩二が語る“猛虎愛”生粋の東京人が虎党になったきっかけ「一番の魅力は“粋”を感じさせてくれるところなんです」
週刊ポスト
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
コムズ被告主催のパーティーにはジャスティン・ビーバーも参加していた(Getty Images)
《米セレブの性パーティー“フリーク・オフ”に新展開》“シャスティン・ビーバー被害者説”を関係者が否定、〈まるで40代〉に激変も口を閉ざしていたワケ【ディディ事件】
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン