薄毛は精神的な負担が大きい上、根本的な治療法がないため、患者は一縷の望みを求めて怪しいクスリや器具に手を染めやすい。そうした暗黒時代が終わりを告げようとしているのか。
しかし一方、世の中からハゲが消えることに寂しさを感じている人もいる。過去に編み込み式増毛法をカミングアウトした漫画家のやくみつる氏が反骨の声をあげる。
「僕はファッションとして増毛を楽しんでいるだけ。新しい治療法で誰もがボサボサになるなんて、個性がなくて不自然です。ハゲのメカニズムは謎のままでいい。宿命に抗う必要はないんです」
意外にも薄毛を気にしている教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹氏も「薄毛愛」を明かす。
「自分自身の毛髪ケアは毎日欠かしていませんが、世の中にはピカッとした輝きが似合う男性も多い。高橋克実さんがフサフサだったらおかしいもの。ハゲが似合う人はハゲのままでいいじゃない」
この治療法が確立されれば、「あえてハゲたままが個性」の時代がやってくる。
※週刊ポスト2016年2月26日号