保活とは、保育園探し活動のことで、熾烈を極める戦いが繰り広げられる。その背景にあるのは、これまでも繰り返し指摘されている、保育士不足、保育園不足による待機児童問題だ。待機児童の数は2009年以降減少していたが、2015年は前年に比べて増加。そもそも、出生数が減少しているのだから、減少は極めて自然な流れだろう。しかも、政府は2001年、待機児童の数え方に大きなカラクリを用いた。
待機児童の数え方の定義について、それまで「認可保育所に入所申請したのに入れなかった人数」だったものを、「認可外保育園に入っている人数は除いてもいい」とした。
するとどうなったか? 2002年、“本来”なら3万9881人の待機児童の数は、2万5447人に“減少”したのだ。
保活の世界は、完全なる“点数制”だ。希望の保育園に入るためには、点数を多く稼ぐ必要がある。子育て・家族問題に詳しい、作家の石川結貴さんが言う。
「実家が遠い、共働きかどうか、フルタイムかパートか、週に何回働いているか、介護をしなければいけない家族がいるか、他に面倒を見なければいけない幼いきょうだいがいるか、など細かく点数がつきます。高得点であることが大前提ですが、点数だけではかれない事情もあるので、自治体によっては申込書には自由記入欄があって、そこに個々の事情を書き込むことができます」
自由業だったり、収入が少しでも高いと減点され、ハードルは高くなる。育休中でも減点されるのだ。メーカー勤務のB子さん(34才)は、“子供と一緒の時間を多く過ごす”か、“保育園に入れるか”を迫られた。
「うちの会社は、娘を産んで1年間は育休を取ることができました。でも、私が育休中だと保育園に入りにくくなる。育休が明けるのを1年待つと、娘は1才になってしまって、それもまた入りにくくなる。結局、育休を半年繰り上げて、都が認可する認証保育園に入れることができました」
※女性セブン2016年3月10日号