高校卒業後は、5年間のフリーター生活を経て、2006年に早稲田大学第二文学部に入学。約2年半で中退し、それからは小さな輸入食品会社で働きながら、執筆を続けた。そして2011年、「楽器」で新潮新人賞小説部門賞を受賞し、デビューを飾る。
「作家になろうという意識は、高校を卒業し、フリーターをしているときにじわじわと大きくなって、大学入学につながった。でも、これまでの人生が小説を書くための準備期間だった、という言い方は嘘くさい気がしますね。もっとのん気に過ごしていたので、作家にならずに、ずっとフリーターをしていたかもしれないですし。ただ、周りの友人からは、おまえは昔から謎の自信があったとよく言われました(笑い)」
昨年10月に会社を辞め、筆一本で生活していく覚悟を決めた。言葉の役割が「整理」と「破壊」だとするならば、後者を目指したいと話す。
「これまで使ってきた言葉を一度解体し、また、わからないようにさせることは活字の芸術にしかできないことだと思う。言葉にしにくい感情を言葉にしていきたい。読み終わった後、使う言葉が変わるような小説を書いてみたいですね。それが世界観が変わる、ということですから」
(取材・文/中村計)
※女性セブン2016年3月10日号