国際情報

中国受注のインドネシア高速鉄道 工事まだ開始せず

西ジャワ州ワリニの現場には立ち入り禁止のテープが

 日本がインドネシアの高速鉄道受注で中国に敗れて約半年。当初、中国はすぐに工事に着手し、3年以内の完成を宣言したが、どうも雲行きが怪しい。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏が現地からレポートする。

 * * *
 濃緑の茶畑が見渡せる山の一角に、ゴム林を切り開いた幅約200mの更地がずっと奥まで続く。周囲には立ち入り禁止の黄色いテープが張り巡らされ、更地に等間隔に立つポールには赤い旗が夕風に揺らめいていた。その近くで屋台を営むディアンさん(34歳)は、コーヒーに熱湯を注ぎながら言った。

「ジョコウィ大統領が出席した着工式の日には客がたくさん来て、1日で300万ルピア(約2万5千円、1万円=約119万ルピア)も売れたの。でもその後は工事が行われていないから作業員もいない。客が一気に減ったから、今は1日当たり20万~30万ルピアしか稼げないわ」

 ここはインドネシアの首都ジャカルタから南東に100km超、車で約3時間の西ジャワ州ワリニ。時折小雨が降る、2月半ばのことだった。

 この約1か月前の1月21日、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領らが出席し、ジャカルタと商業都市、バンドンを結ぶ中国受注の高速鉄道事業の着工式が行われた現場である。同区間(約140km)は現在、高速道路や国鉄が走っているが、所要時間は約3時間で、渋滞が起きればさらに長引く。そこに高速鉄道を走らせ、交通時間を40分に短縮するのが事業計画だ。駅は全部で4つ。2019年初めの開業を予定している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン