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弘兼憲史氏 「ローパー社員を擁護する理由が見つからない」

 ローパー社員は会社に不利益をもたらすばかりだ。ローパー社員とは「ローパフォーマー社員」の略で、周囲の期待通りに働かず、企業に利益をもたらさないダメ社員のこと。北海道大学の長谷川英祐・准教授による「勤勉なアリ」と「怠け者のアリ」の研究によると、普段サボっているアリは働き者の仲間が疲れて休むと代わりに働くというが、人間における「怠け者アリ」であるローパー社員にそのような期待はできないとの悲鳴が現場からはあがっている。

 だからこそ現場では厄介者扱いされる彼らに、正直いなくなって欲しいと考える同僚も多い。だが日本の裁判所は解雇を非常に厳しく規制し、単に仕事の能力が低いだけでは解雇できない。人材コンサルタントの業務を担う経営者JPの井上和幸・社長はローパー社員がいまの企業の「深刻な課題」であると指摘する。

「当社クライアントの8割以上の経営者からローパー社員の悩みに関するご相談を頂きます。周りの社員のイライラが募って全体のモチベーションが下がり、組織が疲弊することに社長達は一番の憤りを感じています」

 こうした社員にどう対応すべきか。元銀行マンで作家の江上剛氏が助言する。

「私が銀行の人事部にいた時代からローパー社員の活性化は大きな課題でした。大切なのは上司の役割です。ローパー社員でも到達できる目標を与え、彼らを鼓舞するのが上司の仕事です」

 その一方で、『課長島耕作』で知られる漫画家の弘兼憲史氏はフリーの立場からローパーを一刀両断する。

「私のようなフリーの場合、仕事ができなければそれで終わり。サラリーマンだからノタノタ働いても雇用が守られ、給料がもらえるのはおかしい。ローパー社員を擁護すべき理由が見つかりません」

「長い目で」なんて所詮はキレイ事で、アリはアリでも『アリとキリギリス』の寓話を思い出すべきなのだ。

※週刊ポスト2016年3月11日号

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