まず金本監督が「鳥谷(敬=遊撃手)、ゴメス(一塁手)、福留(孝介=右翼手)以外のポジションは全部空いている」と語っているように、スタメンがまったく固まっていない。金本監督はこれをもって「競争が激しい」と話しているが、それは半面、どの選手も“帯に短し襷に長し”であるということとほぼ同義である。
中でも問題視されているのはセンターラインだ。
「二塁を安心して守らせられる者がいない。順当に考えればレギュラーは西岡(剛)、控えは上本(博紀)でしょう。しかし右肘痛という不安がある西岡、初めて規定打席に達した14年に失策王になった上本と、両者とも守りにかなり問題がある」(阪神担当記者)
遊撃手の鳥谷も年々守備範囲が狭まっており、二塁強化は不可欠。そのため金本監督は昨年まで中堅手を任い、守備に定評のある大和を二塁に移すことを発案し、大和はキャンプに内野用のグラブだけを持ち込んで、二塁の練習をしていた。
だがそのプランはすぐに覆った。2月25日の日本ハムとの練習試合では、大和を「中堅手」として先発起用。大和は慌てて外野用のグラブを借りて出場するドタバタぶりだった。
「この背景にはOBの江夏(豊)さんの言葉があったといわれています。18日に視察に来た江夏さんが、“大和がセンターを守るのがいい。二塁には上本、西岡もいるのにどうする”と発言、金本監督も逆らえなかったと記者の間で話題になりました。確かに大和が中堅にいると安心ですが、約1か月かけて解決しようとしてきた二塁問題がふりだしに戻ってしまった」(同前)
試合後、金本監督は「大和の外野もある」と弁明したが、チームの混乱を露呈する結果となった。
※週刊ポスト2016年3月18日号