芸能

話題の本『112日間のママ』はこうして生まれた

亡き妻を語る清水健アナ

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、話題の本の誕生秘話を明かす。

 * * *
 読売テレビの『かんさい情報ネットten.』メインキャスター、清水健アナが、妻・奈緒さん(享年29)一周忌に向けて書き上げた『112日間のママ』が発売一か月で5刷、10万部のベストセラーとなっている。

 新人アナウンサー時代、『どっちの料理ショー』(読売テレビ・日本テレビ系)で“三宅厨房”のアシスタントとして、食材を探し求めるロケに出たり、スタジオでフットワーク良く動いていた小柄な男性が「シミケン」こと清水健アナ。関西地区以外にお住まいの方の中にも彼を「知っている」「憶えている」という方も多いだろう。

 そんな清水アナが『~ten.』でスタイリストをしていた奈緒さんと愛をはぐくみ、結婚。ほどなくして妊娠するも、奈緒さんはトリプルネガティブという悪性が高く進行の早い乳がんに冒されてしまう。

 それでもがんと闘いながら元気な男の赤ちゃんを出産。…が、本のタイトルどおり、ママになってわずか112日で奈緒さんは天に召されてしまうのだ。

 実は私も、スタイリストの奈緒さんにはお世話になっていた。私が出演していた同局深夜の番宣番組『ウキキDEナイト』に新人スタイリストとして就いていたのが奈緒さんだ。

 美意識が高く、いつもかわいらしいデザインの服を着ていて、キビキビ動く、元気で明るいお嬢さんだった奈緒さんは、読売テレビの脇浜紀子アナや森若佐紀子アナら、年上女性にとてもかわいがられていた。

 奈緒さんの訃報は、その脇浜アナから私に届けられた。「まだ29才」、「ママになったばかり」「シミケンは憔悴しきっている」…、脇浜アナからのメールに居ても立ってもいられず、私は東海道新幹線に飛び乗った。奈緒さんの告別式に参列するためだ。

 あれほど泣いた告別式というのも、そう経験はない。きれいで性格がかわいくて、でもスタイリストとして裏方に徹していて、本当に仕事がよくできた優秀な奈緒さんが、生まれたばかりのお子さんと最愛の夫を遺して旅立ってしまったのだから。

 大きな斎場の最前列で、喪主の清水アナは気丈にふるまっていた。が、もともと、それほど大柄ではない身体はすっかり痩せ細り、その傍らには椅子ではなくベビーカーが…。それも初めて見る光景だった。ママとのお別れがわかっていたのだろうか。息子さんは、ずっとぐずっていたのだが、清水アナに抱っこされながら、2番目にお焼香をする姿に、彼以上に声をあげて泣き出す参列者も多かった。その告別式のときも、政治家や芸能人の参列者を中心になって仕切っていたのは脇浜紀子アナだった。

 葬儀から戻った私は、清水アナになるべく早く以前のように仕事をすることと、本を書くことを薦めた。書くことで気持ちを整理し、向き合うことができるからだ。

 私はすぐに、ある女性編集者のことを思い浮かべた。『女性セブン』の編集者時代、経済ジャーナリストの金子哲雄さんの連載ページを担当。金子さんが2012年10月、肺カルチノイドのため41才という若さで亡くなられた翌月に出版された単行本『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』の担当編集者でもあったNさんだ。

 金子さんは「世の中のことを知りたければ、経済誌より『女性セブン』を読みなさい」と常におっしゃっていた『女性セブン』の大ファン。『僕の死に方~』は、金子さんが生前、件のNさんと、妻で編集者の稚子さんの元で書き上げたものだった。

関連記事

トピックス

人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン