同年の有馬記念でも2着、2007年のドバイシーマにも出走(6着)して、ジャパンカップも2着。いずれも人気以上の好走で鞍上はO・ペリエ。彼とは妙に“馬が合った”。当たり前かもしれません。父エリシオのGI5勝のうち3勝(凱旋門賞も)はペリエ騎乗なのです。そういう事情かどうか、ポップロックはペリエに機敏に反応しました。
そこで、私はヨーロッパの騎手の手綱さばきに改めて着目するようになった。彼らは一様に脚が長く、下半身に力がある。その特徴をフルに使って馬の上下動の振幅を制御する。馬に不自由な思いをさせず、膝の動きでスピードをコントロールできる。強い筋力を前提にした巧みな騎乗でこそ、強い馬は動かせる。そう確信できた意味でも、ターニングポイントになった馬です。
9歳まで日本で走った後はアイルランドで現役を続け、引退後はチェコで種馬になりました。私の仕事は、預かった馬を種馬に返すこと。それが叶った馬でもあります。
●すみい・かつひこ 1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後14年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。競馬の他、引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者競馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号