「大人世代の日常の“プチ贅沢”として、コンビニでのチルドデザートの市場が急激に拡大している中、アイスカテゴリーにおけるさらなる需要拡大が期待できると考えました。多世代をターゲットとした商品に比べ、大人向けにターゲットを設定した商品の売り上げは好調に推移しています」(明治・加工食品営業本部フローズン営業部の吉岡征史さん)
一方、人口が増加し、アイスの喫食シーンも増えているアクティブシニアに向けた商品開発に取り組んだのがロッテアイス。シニア層からの「還暦前よりも自由な時間が増え、以前よりアイスを食べるようになった」「おいしいものを食べたいが、量が食べられない」などの声を受け、長年親しまれている定番商品『レディーボーデン』から、シニア世代に向け、好みの味を選べる食べきりサイズの『大人のひととき レディーボーデン』を発売。好調に売上を伸ばしている。
「大人向けのアイスが市場に増え、今までアイスを食べる習慣のなかった人たちが、デザートのひとつとしてアイスを選ぶようになったことで食シーンが増え、アイス市場全体の拡大に繋がっていると考えています」(ロッテアイス商品開発部・平井翔大さん)
“大人向け商品化”の流れは、2013年ごろから他の菓子類にもあり、昨年は「大人のスイーツ」がブームに。高級路線のかき氷やソフトクリーム、プレミアムクレープなど、今までのワンランク上をいく大人志向がトレンドとなった。
「大人アイスの人気は、『大人』とつくことでちょっと上質だったり、プレミアム感が出るところが好まれていると思います。ハーゲンダッツは300円弱しますが、それ以外のアイスはコンビニで高くても200円ほどで買える、手軽にプチ贅沢ができるデザートです。デパートでケーキを買ったら500円くらいかかるのが当たり前の時代に、200円ほどで、ものすごく手が込んだ美味しいものが食べられるのがアイスクリームの良さです。
アイスクリームは、-20度の冷たい温度で嗜好品としては究極的なところがあって、これと決めたアイスを食べ続ける人は多いです。実は、乳脂肪やカロリーゼロだとか、生菌が入ったヨーグルトアイスといった機能性アイスは意外と売れず、アイスクリームは機能よりも美味しさ重視。『大人の』とつくものはこれからもどんどん出ると思いますし、それなりに定着していくと思います」(二村さん)