国内

「2人以上産むのが大切」の中学校長 旭日旗騒動では白旗

学校に旭日旗が掲揚されていた(写真はイメージ)

「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと」と全校集会で語って物議を醸した大阪市立茨田北中学の寺井寿男校長は、その後「校門に私物の旭日旗を掲げていた」と毎日新聞で報じられ、世間の集中砲火を受けることとなった。市教育委員会が調査したところ、休日は校門に、平日は校長室に掲揚していたことが確認され、撤去させたという。

 掲揚の是非は別として、校長の発言全文に目を通してみれば、ほとんどの人が「意外といいこと言っている」と思うのではないか。校長がネットに掲載(現在は削除)した発言の中核部分を抜粋する。

〈女性にとって最も大切なことは、こどもを2人以上生むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです。しかも、女性しか、こどもを生むことができません。男性には不可能なことです。(中略)子育てのあと、大学で学び医師や弁護士、学校の先生、看護師などの専門職に就けば良いのです。子育ては、それ程価値のあることなのです。(中略)次に、男子の人も特に良く聴いてください。子育ては、必ず夫婦で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。人として育ててもらった以上、何らかの形で子育てをすることが、親に対する恩返しです〉

 出産後の学び直しを勧め、男性に育児参加を促す──やや言葉足らずな点があるとしても、全体としては女性活躍社会を目指す日本にとって違和感のない主張だと思うのだが……。

 発言が炎上した直後は「間違ったことは言っていない」と堂々と報道陣に答えていただけに、その心境を聞こうと中学校の校門前で待っていると、寺井校長が自転車に乗って現われた。記者が名刺を渡すと「大事な用があるので後で連絡する」と言い、全校集会での発言については答えずに、

「あの(旭日旗の)記事はでたらめだ。私は校長室で旭日旗を掲揚していない」

 と憤って校内に入っていった。記事がでたらめならば、さぞ新聞社、世間に対して言いたいことがあるだろう。しかし、3日待っても連絡が来ない。連休明けに再び校門前で待っていると、校内から自転車の寺井校長が現われたが、

「今は話せない。これから出張に行かなくては」

 と逃げるように去って行った。

 大阪市教育委員会は、「旭日旗は校長室に掲揚されており、校長も事実を認めている。処分の可能性は現時点ではない」と回答した。

 発言同様、確固たる意思で旭日旗を掲揚したのならば堂々とその意味を主張すればよいものを、あっさり白旗をあげてしまったのはなんともお粗末だった。

※週刊ポスト2016年4月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《異なる形の突起物を備えた光沢感あるグローブも…》10代少女らが被害に遭った「エプスタイン事件」公開された新たな写真が示唆する“加害の痕跡”
NEWSポストセブン
「みどりの『わ』交流のつどい」に出席された秋篠宮家の次女、佳子さま(2025年12月15日、撮影/JMPA)
佳子さま、“ヘビロテ”する6万9300円ワンピース 白いジャケットからリボンをのぞかせたフェミニンな装い
NEWSポストセブン
オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン