ライフ

緑内障急増 7割が正常眼圧で視神経障害を来している

緑内障の患者が急増中(写真はイメージ)

 失明原因の第1位である緑内障の患者数が近年、急増している。患者数は2005年の約54万人から2014年には106万人と、約10年で倍増(厚労省『平成26年・患者調査』より)した。

 自分が緑内障に罹っていると気付いていない「隠れ緑内障」も多く、推定患者数は400万人を超え、40歳以上の20人に1人が罹患していると言われる。

 視野が欠損し、重篤になると失明の恐れさえある緑内障は、加齢と共に発症リスクが高まるのだが、多くの人は自覚すらない──なぜなのか。日本眼科学会認定専門医で「回生眼科」院長の山口康三氏が解説する。

「緑内障は、かなり症状が進行した段階でないと視力低下などの症状が表われないケースが多い。発症初期は、視野の一部に見えにくいところができ、中期になると視野の欠けた部分が拡大する。しかし、進行具合は左右で差があるため、視野の欠損が生じても両方の目が互いに補完し合ったり、脳が欠損部分のイメージを補ったりするため、一見すると正常に見えてしまう。そのため、異常に気付きにくく、治療が遅れ、失明に至ってしまいます」

 緑内障は主に眼圧(眼球の内側から外側へ掛かる圧力)の影響で発症する。

 眼球は「房水」という体液で満たされているが、この房水が眼圧を一定に保ち、角膜や水晶体に酸素や栄養を送り届けている。加齢などの理由で、眼球内の房水の量が増えると眼圧は上昇。眼底から脳へとがっている視神経乳頭が圧迫され、目から脳へ正しく視覚情報が伝わらなくなるため起こる神経障害だ。

 だが、困ったことに、日本人の緑内障患者の約7割を占めるのが、眼圧が正常でも視神経障害を来す正常眼圧緑内障なのである。

「原因は解明されていませんが、もともと視神経は圧力に弱いため、正常範囲の眼圧でも神経が圧迫されて発症する可能性が考えられます」

※週刊ポスト2016年4月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン