最近はエステや美容整形でもシニア客が増えていて、特に人気なのが陰毛の脱毛。要は後々の介護に備えて脱毛するのが今風の礼儀らしい。幾つになっても女子は女子なんです。女子高生と違うのは、話題が美容や恋愛からつい介護やお墓や遺産の話になることで、例えば父親とヘルパーさんの再婚に反対する友人は、母親の介護もしていた彼女と父親がセックスするのが耐えられないという。
気持ちはわかるんです。ただ、女も男も土俵を下りられない現状を理解しないと高齢化社会は乗り切れませんし、「イイ歳してみっともない」から「イイ歳して素晴らしい」に今からでも舵を切るべきだと私は思う。現に自分が離婚されるわけがないと思いこむ男性ほど結婚相談所に駆け込むのが早く、夫と別れた後のことを常に考えている妻たちとの想像力の違いが、余生の充実度を分けるんです。
後妻という生き方を選んだ彼女たちは時代の先駆者とも言えて、高齢化と性、相続や法律や家族の在り方など、知れば知るほど世知辛くて面白いのが、後妻という現象だと思いますね。
【プロフィール】
くどう・みよこ/1950年東京都生まれ。1991年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『ラフカディオ・ハーンの生涯』三部作、『悪名の棺―笹川良一伝』『絢爛たる悪運―岸信介伝』『皇后の真実』『快楽―更年期からの性を生きる』など著書多数。
※週刊ポスト2016年4月15日号