スポーツ

早実・清宮幸太郎 対戦相手の関係者さえも魅了するスター性

対戦相手も魅了する清宮幸太郎選手

 春のセンバツが閉幕しても、高校野球がメディアを騒がせている。東京都春季大会(4月1日開幕)で早稲田実業の清宮幸太郎(16)が快音を響かせたからだ。怪童は昨夏からどれぐらい成長したのか──。

 全国の地区予選を詳報するなど、どこよりも高校野球情報を網羅するインターネットサイト『高校野球ドットコム』の副編集長で、「高校野球博士」の異名を取る河嶋宗一氏が、清宮の「現在点」をレポートする。

 * * *
 時折、彼がまだ16歳だと忘れてしまうことがある。あまりに落ち着き払っているからだ。

 昨年の夏の甲子園、その直後に開催されたU-18W杯では、オコエ瑠偉(関東第一から東北楽天)や、小笠原慎之介(東海大相模から中日)といった2学年先輩に対しても、練習中には遠慮することなく意見を出していた。

 先輩の前ではガチガチに緊張し直立不動で、「オザッス(おはようございます)」や「シシャッス(失礼します)」と言うのが精一杯の1年生球児が多い中、清宮は異質の存在と言える。

 こんな逸話がある。昨年の秋季大会で早実が敗れた二松学舎大付には、プロが注目するMAX148キロ左腕の大江竜聖投手がいる。普段、大江は振りかぶらずに投げるノーワインドアップ投手だが、清宮と対峙する時だけ、ワインドアップになる。その理由を大江に聞くと、「少しでもボールの見え方を変えて清宮を揺さぶりたかったんです」と明かした。

 大江はこの試合で第2打席、第3打席と清宮にヒットを許したが、第4打席に三振に切って取った際には「シャッー!」と、大きな雄叫びをあげた。

 大江は清宮より1学年上だが、明らかに清宮を意識していた。試合後、敗れた清宮は大江に近づき、「頑張ってください」と握手を求めた。その姿を見た二松学舎大付の関係者は「清宮君は大人だな。早実は敵だが彼は応援したくなる」と漏らした。

 対戦相手の関係者さえも魅了する清宮は、やはりスターなのだ。そのスターがもっとも輝く場所が甲子園である。

 この夏、もう一度その舞台に返り咲いてほしいが、早実が属する西東京地区には日大三や東海大菅生など強豪校がひしめく。

 甲子園に出るためには、チームの総合力が問われる。清宮には4番打者としてチームを勝利に導く一打が求められるが、きっとその期待に応えてくれるはずだ。

●かわしま・そういち/「高校野球ドットコム」副編集長。年間300試合以上の高校野球を観戦し、確かな目で選手を分析する。球児から「高校野球博士」や「スカウト部長」とも呼ばれている。高校野球にまつわるあらゆる情報を集約している高校野球ドットコムにて、強豪校の練習や注目の球児についてコラムを執筆中。

※週刊ポスト2016年4月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン