ライフ

名刀コレクター徳川家康 信長や秀吉保有の名刀群も収集

豊臣秀吉は稀代の名刀蒐集家だった

 重要文化財や国宝に指定されることもある日本刀には、ひとつひとつに時代の意味が込められ、歴史を持っている。天皇家や足利家、織田信長に豊臣秀吉、徳川家康ら時の権力者たちがいかに刀を求めたかについて、時代小説家の牧秀彦氏が解説する。

 * * *
 刀剣は記紀神話にも登場し、その霊力で邪気を祓(はら)う神聖な武器として描かれている。天皇家は朝敵討伐の際にその威光を借り、権威を委任する証しとして「節刀」を用いた。その天皇家の武官たる立場にふさわしい重宝、つまり代々の宝として、源氏は「鬼切」と「薄緑」を、平家は「小烏丸」を伝えている。

 その後台頭し武家をリードした足利氏はさらに古今の刀を独自に集め、足利家の重宝と定めた。武家の棟梁たるステータスを守るため、数々の名刀を所有し世に誇ったのである。この室町時代、ステータスシンボルたる刀の研究が進む。平安・鎌倉の刀剣の銘が研究され、鑑定家の名家である本阿弥家も登場し、刃文(※)の美しさを追求する研ぎが施された。

【※「刃文」(はもん):刀身を焼き入れたときに鉄の性質が変化した部分。刃文の形は流派や刀匠によって様々な種類に分類される。日本刀鑑賞の際に最も目に付く部分。】

 十三代将軍義輝の暗殺後、これらの名刀は流出し、織田信長ら戦国の世の武将たちの手に渡った。彼らもまた、名刀を欲したのである。信長が持ったことで、また価値が上がる。豊臣秀吉が稀代の名刀蒐集家だったことは意外と知られていないが、秀吉は信長の持っていたコレクションを根こそぎ受け継いだ。

 それは権力移譲の象徴でもある。武芸に秀でたわけではない秀吉が名刀を求めたのは、人斬りの実用に供するためではなく、天下を統べるべく己の権威に箔をつけるために他ならない。

関連キーワード

トピックス

新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン