総務省の調査では、「親と同居の壮年未婚者(35~44歳)」は2012年に300万人を突破し、そのうち失業者の割合は10.4%を占める。同世代の既婚者や親と同居していない層に比べて、失業率は倍以上だ。
都内に住むB氏(58)は、定年直前のリストラで退職し、月額およそ18万円の失業給付と同居する両親が受給するわずかな年金で暮らしている。生活はカツカツ。そこに新たな心配が加わりそうだという。
「運送業をしている30代の息子もリストラに遭ったんです。息子は、『家賃が払えなくなるから実家に戻りたい』と話しているが、ただでさえ家計が苦しいところに食い扶持が増えることを考えるとお先真っ暗です。老後は息子が助けてくれると思っていたのですが……」
こうした親と子、それぞれとの同居リスクが同時に襲いかかるのが、「三世代同居」の危険性なのだ。親と子の板挟みで共倒れ寸前の状態になっている人たちの悲鳴が聞こえてくる。
都内在住のC氏(72)は、高齢の母親を施設に入居させ、夫婦で年金暮らしをしていた。
「ところが昨年、36歳の息子が非正規社員として働いた清掃業をクビになり、精神的ショックでうつ病を発症した。独身で身の寄せ場がなく実家で預かることになったが、息子は再就職先を探すこともできず、家でゴロゴロするだけ。夫婦合わせて月12万円の年金で親子3人が暮らすのは厳しく、高齢の母が病気にでもなって医療費がかさんだ時のことを考えると、不安で仕方がありません」
※週刊ポスト2016年4月29日号