ライフ

親と子それぞれの同居リスクが同時に襲う「三世代同居」

 昨年8月に放送されたNHKスペシャル『親子共倒れを防げ』をベースに書籍化した『老後親子破産』が発売1週間で重版がかかるなど、話題を読んでいる。親子同居、三世代同居は「老後親子破産」の大きなリスクを孕んでいる。

 まずは親との同居リスクから見ていこう。「親の介護」によって、離職を余儀なくされるケースが急増している。みずほ総合研究所のレポート(2012年)によると、毎年10万人以上が介護のために仕事を辞めている。中心は40~50代の働き盛りだが、介護離職した後の再就職は難しい。

 大手メーカーに勤務していた千葉県在住のA氏(54)は、父親(82)が脳梗塞で倒れたことを機に離職を決意した。

「父と同居する母は体が弱く、自分の世話で精一杯です。介護サービスにも限度があり、年老いた両親のために何ができるか考えていたところ、会社が早期退職を募ったので応募しました。私は知的財産に関する専門知識があったので再就職は容易と考え、失業保険と退職金で当座をしのごうとしたんです」

 だが、その計画はすぐに“下方修正”を迫られた。A氏は父の介護と両立できる仕事を探したが、年齢がネックになり大半は書類選考の段階で落とされた。ようやく面接にこぎつけても「父を介護している」と明かすと断わられてしまったという。

 こうしたケースは枚挙に暇がない。NPO法人「パオッコ」理事長で介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏は「なかでも最悪のケースがある」という。

「介護について多くの相談を受けますが、最も深刻なのは、親が認知症になっているケースです。徘徊などの目を離すと危ない症状が出ている場合は、親の近くで生活しなければならないため、介護離職を迫られるケースが多い」

 しかも、老親の介護のために離職する世代は、自らの住宅ローンを残しているケースが少なくないため、“ローン地獄”に陥る危険が隣り合わせだ。

 次に子供との同居リスクである。「子供と一緒に住めば、金銭的に助けてくれるのでは?」と思うかもしれないが、現実にはその逆で、いつまでたっても独り立ちできない息子や娘の世話に悩む親が増えているのだ。

関連キーワード

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン