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ロン毛男子の魅力を熱く描く『椿町ロンリープラネット』

【マンガ紹介】『椿町ロンリープラネット(3)』やまもり三香/集英社/432円

 キラキラこぼれ落ちるくるくる巻き毛や、流れるような漆黒のストレート。少女マンガにおける髪の毛は、宝石以上に特別な存在感を放つ装飾です。髪が彩るのは女性のキャラクターにかぎりません。どことなく非日常感をまとった(言いかえればスターのオーラをたたえた)長髪の男性は古今の少女マンガ界に繰り返し現れ、確実に一部読者の心に爪痕を残しているのです。

 かくいう私も『はいからさんが通る』の青江編集長に心をつかまれて以来、長髪へのときめきが止まりません。

 神秘的・個性的・自由人など世俗を超越したクールなイメージがあるロン毛男子ですが、ふと見せる無造作なかっこよさや色気にも注目して熱く描いているのがやまもり三香『椿町ロンリープラネット』です。

 親の借金のため作家・木曳野暁先生の家で家政婦として働くことになったふみ。表情を隠すように顔にかかった長い髪とぶっきらぼうな態度、三白眼が最初はなんだか怖かった暁先生ですが、秘めたやさしさに気がついたふみは徐々に彼に惹かれていきます。

 時代小説を執筆している暁先生。長い髪をひとつにまとめた姿はどことなく「侍」風です。同時に、本人はまったく無自覚ながら、イマドキっぽいおしゃれなシルエットになっているところがたまりません。出かける前に髪をさっと結ぶ仕草や忙しい時のボサボサ頭など、本作では髪が暁先生の魅力を語ること語ること!

 口下手で「…オレは/人の気持ちをあまり汲めない」などと口走る暁先生なのですが、彼の素敵さはその髪の毛が何より雄弁に教えてくれます!

(文/横井周子)

※女性セブン2016年5月5日号

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