それ以来、避難所や被災者への取材はそもそも不要ではないかという声もあがっている。しかし、避難所からの中継そのものには、意義ある面もあるのだという。
「今回の生中継で見えてしまった様子は、きちんとした話し合いや配慮が足りなかった結果だと思います。でも避難所の取材が無意味だとは思いません。東日本大震災のとき、テレビに映った被災者の姿から、直接、連絡を取れない知人の無事を確かめるということが少なくありませんでした。
被災者の側からも、元気にしている様子を知ってもらうのに便利な手段だという声が少なくなかった。復興のためにも、現地の様子を知ってもらうのは必要不可欠です」(地方局報道部ディレクター)
若年層を中心にSNSで共有される情報がニュースになっているといわれるが、実際には「世の中の動きについて信頼できる情報を得るのに最も利用する」メディアは全年代で「テレビ」(59.1%)が最も多く挙げられている。20代に限ってみても49.8%と圧倒的だ(総務省「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」より)。
ネット炎上の多さは、期待と信頼の裏返しなのかもしれない。