パリ8区の自身の店でも、日本ワインを扱っているフレンチの巨匠ドミニク・ブシェ氏が、今注目の日本ワイン10本を試飲した。同氏は「フランス人が造るワインに近づける必要はなく、日本人の個性を守るほうがいい。品質に磨きをかけた、日本人目線の優れたワインを今後も期待しています」と語るほど、日本のワインを評価する。ブシェ氏が試飲したその銘柄と、講評を紹介しよう。
●『シャトー・タケダ 2008(赤)』1万260円(タケダワイナリー)
自社農園のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローを使い、ぶどうの出来が良い年のみ造られる。フレンチオーク樽で1年間熟成させており「樽の熟成香が際立っている。それでいてバラの花のような香りも感じられる」(ブシェ氏、以下「」内同)
●『ドメイヌソガ サンシミ ルミリアシオン ムラサキ第三農場』4320円(小布施ワイナリー)
「ボンボン(飴)やフルーツのような甘い香り。タンニンもなめらかでとても飲みやすく、食前酒向き。魚料理や生ハムに合わせてもいい。フランスのワインのようなベリーを思わせる飲み口。仏ワインと肩を並べる」
●『登美の丘ワイナリー 登美(赤) 2009年』1万2982円(サントリー)
「仏ブルゴーニュ地方のガメイ種が育つ地域のワインのような香りや色があり、ボジョレー地方の印象も兼ね備えている」。ワイナリーは山梨・甲斐市の比較的涼しい地域にあり、同地は良質なぶどうが採れる地域として評価される。
●『プライベートリザーブ キュヴェ・アカリ 2011』8165円(城戸ワイナリー)
日本で最高のメルローが育つとされる標高700メートルの長野・桔梗ヶ原に畑がある。「やさしい味わい。ドライなので、ソースのある肉料理と合わせたい。特にジビエがお勧め。飲む数時間前に抜栓するのがいいでしょう」
●『ラ プルミエール フォア メルロ 2012』5076円(ファンキーシャトー)
樽熟成をかけたビターなテイストを持ち味とする。「タンニンの密度が強いので、ソースのある肉料理などと相性が良いと思います。赤身の肉にはとても合いそうですね。カシスなどの黒いフルーツや花の香りを感じます」