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2016.04.24 16:00  週刊ポスト

上條恒彦 「やりたい」に束縛されるといい芝居はできない

上條恒彦が語る芝居の覚悟

 歌のヒットによって歌手から俳優へと活動の幅が広がった上條恒彦は、ミュージカルでも活躍するようになった。ミュージカルで共演した森繁久彌など役者としての大先輩と共演した時に感じた言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

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 森繁久彌主演のミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』で、上條恒彦は肉屋・ラザールの役で出演。その後一度は主役を演じ、西田敏行主演版では再びラザール役に戻っている。

「ラザールは僕の前は谷啓さんがおやりになっていまして、ブロードウェイの芝居を大きく広げてお作りになった。僕はその方向ではなく、できるだけシンプルに作りたくてかなり苦労しました。

 偉大な森繁先生と一対一で芝居するわけですから、そりゃあ勉強になりました。セリフ一つにしても、息を抜くタイミングとか、声の張り方とか。よく観察しました。森繁先生は何もおっしゃいません。怒られたこともないです。でもそれが怖かった。気の抜けない日々でした。

 主役をやった時は、プロデューサーに『これはジョーさんの役じゃないと思うけど、シゲさんのたっての希望だからやってよ』って言われたんですよ。魅力ある役ですから、やりたいと思っていました。でも、できるとは思っていませんでした。というより、できない。だから言われた時はビビりました。それでも『こんな機会はもう巡ってこない』と引き受けました。

 西田さんの時は、プロデューサーに『ジョーさん、やりにくいだろうけど、前の役に戻ってよ』と言われて。『ありがとうございます!』と受けました。

 西田さんは大変だったと思います。あの人は僕と違って根っからの役者ですから、凄いプレッシャーだったんじゃないですかね。森繁先生の時はぶらさがっていればよかったのですが、今度の僕のやることは、まず西田さんを支えることだと思いました。どうやって支えたかというと、毎晩一緒に真剣に飲んだくれたくらいのことですが」

 映画『千利休~本覺坊遺文』での山上宗二やNHK大河ドラマ『武田信玄』などでは、歴史上の人物を演じてきた。

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