「オバ記者」として活躍する野原広子氏(59)
昨今アラ還での婚活パーティなども活況を呈しているというが、婚活女性の中には活動歴が数年や数十年というベテランもいる。雑誌『女性セブン』で“オバ記者”として活躍する野原広子氏(59)が「苦難の20年」の婚活歴を綴る。
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初めて結婚相談所の扉を押したのは39歳のとき。
〈T氏 43歳、未婚、中堅の建設会社の営業マン。湘南の海からほど近い一戸建てに母親と住む〉
居酒屋で「初めまして」の彼は身長175cmのガッチリ型。渋いスーツ姿に好感をもった。
「最近、台所をリフォームしたんです。食洗機? あります!」
しかし、私がタイ旅行に行くと言うと、「じゃ、ネクタイを3~4本、買ってきてもらおうかな」と急に態度がぞんざいに。意地で買ってきた4本のネクタイを渡すと、それぞれ胸にあてながら、「オレ、上品な人になっちゃうな」と大喜び。
なのに、その日の居酒屋も割り勘。勤務先の社長は親指、女子従業員は小指、お金は指で丸印の“指話”もだんだん鼻について、4か月で失速。
〈K氏 43歳、未婚、調香師。身長は160cm以下だが、都内にマンションと那須高原に別荘〉
表参道の喫茶店で会うと、いきなり「赤坂の□△というフレグランスの店、知っていますか? すごい美人の店長と結婚の話も出ていたから、2500万円出資したら、なしのつぶて」。要は彼女を訴えようか迷っているという話なのだが、彼女を「すごい美人」と何回言ったか。私に対しては「話しやすい」のみ。
50歳直前に新たな出会いを求め、婚活サイトに入会した。
〈N氏 55歳、死別、化学薬品メーカー勤務〉
神田駅前で待ち合わせ。「写真と感じが違うね」と言ったあとは、黙々と880円のランチを食べ、「ま、がんばってください」と、小銭を並べて帰っていった。