〈S氏 57歳、鉄道保線の工事監督〉
結婚歴2回とあったが、鉄道博物館でデートをすると「実は結婚は4回、ひとりはフィリピーナ。子供が5人いるけど、気にしないでしょ?」。
そのほか「宝石、安くしますよ」と、2回目のデートで営業をかけてきたジュエリーデザイナー氏や、生ビール2杯目で「別れた妻はセックスがすごくよかった」と連呼した板金工氏など、多士済々。
いよいよ婚活も終わりにしたい55歳の私。
〈F氏 56歳、未婚、大手自動車メーカーの子会社勤務。父親とふたり、千葉の海べりの街に住む〉
2回目のデートは彼の実家。話しをするのはもっぱら79歳の父親で、本人は茶の間に寝そべって、春の高校野球を見ていた。
〈H氏 67歳、死別、元大手鉄鋼メーカー。紹介カードに「貯金はけっこうある」と堂々と〉
3回目のデートで「昔の若者は政治への意識が高かった」と言うので反発したら、「そんな話、女性としたくない」とキレられ、それっきり。
そして、つい先日、59歳になった私。「会いたい」とメールしてきたのは、74歳の「米国陸軍と取引している通信機器会社の会長」を名乗るW氏。「次の米国大統領の就任パーティーにぼくと同行して」と、大きく出たかと思えば、「ぼくの会社に今月中に出資すると15%の配当を出します。どうです、1000万円くらい」ときた。
婚活と詐欺って、少し似ているのかも知れない。
●のはら・ひろこ/1957年、茨城県出身。農業高校卒業後、18歳で上京し、靴店の住み込み店員や喫茶店ウェイトレスを経てフリーライターに。24歳で結婚したが、4年で離婚。『女性セブン』で“オバ記者”として挑む体当たり取材が人気
※週刊ポスト2016年5月20日号