●演出愛が際立つ賞
『重版出来!』(火曜22時TBS系)の舞台は漫画の編集部。元柔道日本代表で駆け出し編集者・黒沢心を黒木華が体当たりで演じている。漫画作家と編集者の緊迫したやりとりが見所。いわゆる「業界もの」ドラマだけれど、ウソくさくない。演出が凝っているからだろう。
例えばストーリーの中に、漫画を制作する手順が丁寧に挟まれていく。わざわざドラマのために書き下ろされた漫画は本職のプロが一つ一つ手がけている、というのだから、尋常ではない。リアル感が漂うには、それなりの理由がある。
私自身ライター業を手がけているから、ちょくちょくドラマに登場する「ライター」「作家」業の描き方のウソくささには閉口してきた。『重版出来!』には、そうした白々しさ、「一般人に見せるのだから適当でいいだろう」的甘さがない。
それもこれも演出サイドに「愛」と「本気」があるから。実在の漫画家をドラマに本気で絡ませていくという斬新な演出手法があったのかと、発見が嬉しい。あっぱれドラマ、注目の3本だ。