国内

女性議員 「滅私奉公求めるなら家族持つ女性は政治家無理」

 女性が参政権を得てから今年で70年が経つ。政界における女性政治家のあり方について、現役の女性議員はどう感じているのか。自民党の政調会長・稲田朋美衆議院議員は、「政界はまだまだ男社会」と明かす。

「古い体質が残り、女性政治家のロールモデルが少ない。私が政治家になって気づいたのは、政治は生活そのものということ。子育てや身近な問題だけでなく、国の財政再建や安保問題、憲法改正だって、自分や子供の将来に密接にかかわるテーマです。政策は雲の上の話ではなく、生活そのものだからこそ、女性ならではの視点が重要です。

 女性に共感される言葉で政策を語れないようでは、政治家失格。まずは女性が立候補しやすい環境をつくることが重要だと考えています」

 当選2回にして民進党の政調会長になった山尾志桜里衆議院議員も「家庭と政治を両立できる環境」が必要との意見だ。

「政治が滅私奉公を求めたら、家族を持つ女性は決して政治家になれません。税金で仕事をするので公に尽くすのは当然だけど、最低限の自分の暮らしや家族との生活が政治の仕事と両立できれば、女性議員がもっと増えるはずです」

 2人はともに、子供を持つ母親であり妻でもある。 稲田議員は弁護士の夫と大学生の1男1女がいる。

「夫は結婚するときは“仕事よりも家庭を大切にしてください”と言うような人でした。けれど、実際に結婚してみると、朝ご飯も、子供の保育園の送り迎えもやってくれたんですよ。ただ最初が肝心ですね」

 山尾議員は自営業の夫とともに家事を分担し、保育園に通う5才の息子を育てている。

「本当は日光の照っているうちに子供と一緒に遊んであげる時間をとりたいと思っていますが、党の政調会長という要職についてから子供と過ごす時間がめっきり減りました。子供には“みんなのためにお仕事頑張るね”と話しています」

 仕事と育児を両立するために、どこかで後ろめたさを感じざるを得ないような状況では、政治家になりたいと思う女性がいなくても当然だろう。だからこそ1989年の「マドンナブーム」の参議院選挙戦を取材し、女性議員の研究もしているキャスターの安藤優子さんは、「同化する」のではなく、「女性が女性のまま通用する」社会を、政治をつくることが急務だと考えている。

「女性は『子宮で考えるからダメ』だとか、いまだに言う人もいます。私たちはこれまでそう言われて怒っていましたけど、実は子宮で考えることも大事だと思うんです。 かつて子宮で考えることを否定しないとやって来られない時代がありましたが、これからは女性が女性として普通に存在できる政治でないとダメだと思います。もうそろそろ子宮で考えていいんじゃないか」(安藤さん)

※女性セブン2016年5月12・19日号

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン