国際情報

中国人民 生活豊かになれば共産党独裁でも民主主義でもいい

上海で貼られた習近平のポスター AP/AFLO

 世界を揺るがす「パナマ文書」に中国共産党の現・元幹部クラスの9人の名前があることが判明した。中国当局はネットで「パナマ文書」関連の言葉を閲覧禁止とし、徹底的に隠蔽している。習近平国家主席がそこまで過敏に取り締まるのはなぜか。中国ウオッチャーのジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰氏が分析する。

 * * *
 いま中国は経済発展の踊り場に差し掛かっており、その処方箋はいまだに見えない状態にある。いわば持病を抱えた中国社会は、ほんの小さな“ウイルス”でも混入すればさまざまな合併症を引き起こし、命を落としかねない。

 当然、「パナマ文書」にも神経質にならざるを得ない。習近平の姉の夫(義兄)の名前が挙がったことから、「習近平が親族を使って不正蓄財をしているのではないか」と疑惑の目を向けられているからだ。隠語として流行した「姉の夫」をネットで削除対象にしたのも、そうした危機感の表れだ。

 中国全土に澱のように溜まった不満のガスは、各地で散発的に起こる、デモや暴動の範囲に留めておきたいのが習近平指導部の切なる願いだ。

 彼らは人民の不満が「パナマ文書」と結びつき、大きなうねりになることを最も恐れている。「アラブの春」を見て学んだ共産党幹部たちは、ネットがその引き金になることをよくわかっている。ネットは、イコール「人民のパワー」である。

 中国は「共産党が動かしている」とつい見てしまいがちだが、大きな間違いだ。中国を動かしてきたのは人民のパワーに他ならない。共産党をいつでも打倒する力を常に持っているのが、人民なのだ。

 文化大革命が起きたのは、毛沢東に力があったわけではなく、人民の力を味方につけたからだった。今後、人民が一つの方向に向かって動くかどうかが、中国の明暗を分ける最大の要因なのである。

 だからこそ、習近平はポピュリズム(大衆迎合主義)の政治を行ってきた。

関連キーワード

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン