「私は未破裂脳動脈瘤の治療デバイスとして、カテーテル治療用の離脱式バルーンや電気離脱式コイルの開発を行ないました。ですが、どれも破裂リスクの軽減にはつながっていません。アメリカの報告では、7ミリ以下の脳動脈瘤にコイルを留置しても、10年間に27%破裂との結果が出ています。そこで私は、新たにiCLIPというデバイスを開発しました」(宇佐美院長)
iCLIPは、動脈瘤の首のところにひっかけ、血流が入り込まないようにして動脈瘤を縮める画期的な治療だ。20年以上前に開発され、それを直径50ミリという超大型の脳動脈瘤に対し、臨床研究として留置したところ、破裂もなく患者も元気に過ごしている。
現在、保険承認に向けた準備が行なわれており、メイドインジャパンの新しいデバイスとして、臨床現場で使用できる日が待たれる。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年6月10日号