国内

消費税率を5%に下げない理由を首相ブレーンが解説

なぜ消費税5%に踏み切れぬ?

 安倍晋三・首相が本当に国民生活のことを考えているのなら、増税再延期よりいい方法がある。それは、「消費税を5%に戻す」ことだ。“そんな暴論を……”と思うかもしれないが、アベノミクスの理論的支柱となった経済学者の本田悦朗・内閣官房参与(財務省出身、明治学院大学客員教授)も「理論的には8%の税率を5%に戻すのがベストだと思います」と指摘した。

 にもかかわらず安倍首相が税率を下げない理由について、本田氏はこう続けた。

「消費税は税収を社会保障の充実にあてると決められている。一度増税して毎年の歳入となっている以上、いまから税率を下げると予算編成上、社会保障の支出に混乱をきたすことになる。だから政治的に下げるのが難しい。私は消費税の目的税化は反対でした」

 本田氏と同じく財務官僚出身の首相ブレーンとして知られる高橋洋一・嘉悦大学教授も、目的税となっていることが税率を下げられない理由だと指摘する。

「2014年4月の消費増税で国内景気が悪くなったので、理論的には5%にするのが筋です。ただし、消費税は社会保障目的税になっているので、社会保障関係予算の組み替えなどが必要で、実務的、政治的にはとても難しいわけです。

 だから消費減税と実質的に同じ経済効果となるような30兆円規模の財政出動をすれば、名目GDPは630兆円程度に達するだろう」

 安倍首相は6月1日の消費税再延期会見で、今年秋にも「大型景気対策」を打ち出す方針を表明した。消費税8%増税が「気の迷いだった。引き下げる」とはいえないから、かわりに公共事業をバラ撒こうというのだ。またとない参院選対策にもなる。

※週刊ポスト2016年6月17日号

関連記事

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン