国内

大和くんはなぜ生き延びた? 43年洞窟に住んだオジさんが分析

北海道の大和くん生還を「洞窟オジさん」が解説

 北海道七飯町の林道で親に置き去りにされ、行方不明となっていた小学2年生の田野岡大和くん(7才)が発見されてから約1週間。奇跡の生還劇をテレビで見ながら、40年以上前のわが身を思い起こした人がいた。「洞窟オジさん」こと、加村一馬さん(70才)だ。山中で7日間、少年はなぜ生存できたか──加村さんに聞いた。

〈「洞窟オジさん」こと、加村一馬さん(70才)とは?〉
 群馬県生まれ。ひもじさでつまみ食いをしたときなどに、木の棒で叩かれたり、両足を縛られて木の枝から逆さ吊りにされたり…。両親による度重なる虐待から逃れ、13才のときに家出。足尾銅山の洞窟をはじめ、栃木や新潟などを転々としながら、人目を避け、昆虫や小動物、獣などを食し、洞窟などを寝ぐらにして43年間にわたり、サバイバル生活を送った。現在は社会復帰し、障害者支援施設に勤務している。

 * * *
 オレはさ、てっきりクマに襲われちまったんだろうなぁ、って思ってたよ。だって、7才の子が独りぼっちで7日間だろ…。

 まぁ、オレも13才のとき、親からの折檻がイヤで家を飛び出して山の中に逃げ込んで、それ以来43年間、サバイバル生活を送ったけど…とはいえ、あの子は7才だろ。つらかったと思うよ。

■サバイバルの条件1 身を寄せる場所

 人けのない山ん中で、何が怖いかって? 獣だよ。草木のカサカサした音や葉っぱがかすれた音が聞こえてくると、無性に怖くなるんだよ。何か動物が出てきて、襲われるんじゃないか、って。

 あの子もきっと、歩き始めは音を立てないように静かに歩いてたろう。だけど、周りに誰もいない、だんだん暗くなってくる…そうなると、物音を立てないことなんかどうでもよくなって、知らず知らずのうちに足早になる。で、気づいたら、何から逃げてるんだかわからないけど、追われるように走り出しちまうんだよ。

 あの子が賢かったのは、小屋を探したことだね。オレの場合は、家に戻るつもりがもともとなくて洞窟に辿り着いたんだけど…独りぼっちで夜を越すとき、何が大切かって、まずは、雨露や寒さをしのげて、獣に襲われにくいところ、身を寄せられる場所、体を冷やさない場所を見つけ出すことなんだよ。

 周りが真っ暗闇にならないうちに自衛隊の小屋を見つけ出して、そこに身を潜めた時点で、あの子は第1関門を越えたんだ。生き残るための条件──そんなものがあるとするなら、その1つ目は、身を寄せる場所の確保だな。

関連キーワード

トピックス

清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
引退すると言っていたのに誰も真面目にとりあっていなかった(写真提供/イメージマート)
数十年続けたヤクザが引退宣言 知人は「おめでとうございます」家族からは「大丈夫なのか」「それでどうやって生きていくんだ」
NEWSポストセブン
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト