何だか最近、国連がいやに日本に厳しい。たとえば昨年10月、ユネスコの世界記憶遺産に中国の申請によって、いわゆる「南京大虐殺」が登録された。そこでどれくらいの人が死んだのかといった議論は未決着のまま、「世界の重要な記憶遺産の保護と振興を目的に」(文部科学省ホームページより)運営されている世界記憶遺産が“お墨付き”を与えたのだ。
同じく昨年10月、国連の「児童売買、児童買春及び児童ポルノ」特別報告者のマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏が来日。記者会見で「日本の女子学生の30%は援助交際を経験している」と発言し、物議をかもした(後に「13%」と訂正)。
極めつけは今年3月、国連女子差別撤廃委員会が、皇位継承権を男系男子に限定する日本の皇室典範について「男女差別である」とする勧告書を出そうとした問題だろう(これは日本の国会でも「おかしい」といった声があがり、同委員会の最終見解には盛り込まれなかった)。
ほかにも同委員会は、いわゆる「従軍慰安婦」問題で元慰安婦への金銭賠償や公式謝罪などの「完全かつ効果的な賠償」を行うことも要求している。
これら国連の見解は著しく公平性を欠いているようにしか見えない。しかしなぜ、国連はここまで日本に厳しいのか。
「南京や慰安婦の問題がここまで大きくなったのと、構造はほとんど同じです。日本の左派的な活動家が足しげく国連諸機関に通い、そこで日本のネガティブなイメージを拡散している事実があるのです」
そう語るのは、前衆議院議員の杉田水脈氏である。
国連では加盟各国のNGOなどを集めたセッションを定期的に開催。そこから世界の“市民の声”を吸い上げる形で、さまざまな報告書を作成している。以前から、国連の“反日的”な姿勢に疑問を感じていた杉田氏は、昨年7月と今年2月にスイスのジュネーブで行われた国連女子差別撤廃委員会のセッションに参加。
しかしそこで杉田氏が見たものとは、日本から遠く離れたジュネーブの地に詰めかける、大勢の日本人の姿だった。
「100人はいたでしょうか。そしてその日本人たちのほとんどは、左派系の市民団体のメンバーでした。セッションでは参加者によるスピーチも許されたのですが、彼らは口々に『旧日本軍に強制連行された性奴隷の従軍慰安婦』といった話をする。
私が登壇して『慰安婦の強制連行はありません』と話したら、国連のスタッフの方々が『初めて聞く話だが、本当なのか』と驚いていたのがとても印象的でした」(杉田氏)
つまりこれまで、国連とはこうした“意図ある日本人の巣”のようになっていて、そこで日本に対する一方的な悪印象が広められ続けていたのだ。ただ杉田氏は自らが参加した女子差別撤廃委員会の場で、皇室典範に関する議論は一度も耳にしなかったという。
「おそらくそれは非公開協議の場で話し合われたことだと思うんです。そこには国連の認定NGOとして一定期間の活動実績があり、特別な認証を受けた団体の関係者しか加わることができません。日本の保守派はほぼこの認証を持っていません」(同前)