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父の日はなぜ無視されるのか 父母へのプレゼント格差を考察

こんな世界は夢のまた夢か(写真:アフロ)

 6月19日が何の日かご存じだろうか。即答できなかった人にはちょっとせつない、コラムニスト・オバタカズユキ氏のコラムである。

 * * *
 6月19日は何の日か。クリエイティブサーベイ株式会社が20~50代の男女を対象として6月上旬に実施した調査によると、25%しか認識している人がいなかったそうだが、父の日である。

 同調査では、こんどの父の日にプレゼントを渡す予定「なし」が67%だったという。「父親に今後期待することはどんなことですか?」の問い(複数回答可)に対しても、1位は「生き生きと生活すること」34.8%だが、僅差の2位が「何も期待しない」30.3%だ。「父親の好きなところを教えてください」(複数回答可)では、トップが「特になし」26.7%になっている。

 父の日を目前に、世のお父さん方には、悲しいデータが続くのである。

 もしかしたら調査が偏っているのかもしれない、と、日本生命保険相互会社が5月に行った回答者数1万人超のアンケートもチェックした。が、そこでも父の日にプレゼントを「贈らない」が、51.1%と過半数を上回っていた。

 中には、「家族の絆はモノじゃない。気持ちが通じていればいいんだ」と考えるお父さん方もいるだろう。ニッセイの調査には、それを示唆するかのような結果もある。お父さん側に「今までもらったもので最も嬉しかったプレゼントは何ですか?」と問うたら、1位が「手紙・メール・家族が描いた絵」20.2%だった。ここですでに泣きそうになったお父さんもいるのでは。やっぱりモノじゃない、ココロなんだ。10代の子供がいる父として、私もウルッとくる。

 同調査は贈る側に「プレゼントは何を送る予定ですか?」とも聞いている。1位は「食事・グルメ」29.1%、2位「衣類」21.5%、3位「酒類」20.9%だ。「食事・グルメ」は、親孝行の気持ちを一家団欒の機会を設けることで伝えようというプレゼントともいえる。「衣類」も、お父さんの好みをよく分かってなければ選べないし、購入の手間ひまに親思いの気持ちが込められている。

 やや引っかかるのは、3位の「酒類」。いや、個人的な話だが、私自身、これまで父の日に贈っていたプレゼントで多かったのは「酒類」なのだ。その選択には「手っ取り早いから」という理由が、正直大きかった。もちろん、お父さんの好みを吟味して購入したお酒を親子で愉しむという人もいるだろう。が、いまどきの「酒類」は楽なのだ。ちょいとプレミアムビールの詰め合わせをオンラインショップでポチれば自動宅配。我が子から手紙や絵をもらえたらどんなに嬉しいことかと思う父親でありながら、自分の父に対してその冷たさ、だ。今これを書きながら自己嫌悪気味になっている。

 しかし、ニッセイのアンケート結果にはより冷徹な数字も出ている。お父さん方がもらって最もうれしかったプレゼント1位の「手紙・メール・家族が描いた絵」を、どれだけの人数が贈ろうと考えていたか。

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