これが、0.9%なのである。「財布」1.7%の約半分。限りなくゼロに近い。アンケートは、20代以下から70代以上まで幅広くとっているから、もういい大人が父親に手紙や絵もないだろう、と孝行の気持ちをモノに託したケースが大半なのだとは思う。でも、実は、たくさんのお父さん方が、よりストレートな気持ちの伝達を欲しがっている。そこに気づく子供や配偶者は少ないのではないか。
そもそもプレゼントを渡す予定「なし」、父の日にプレゼントを「贈らない」ほうが多いのだ。私たちは世のお父さんの気持ちを蔑にしがちであることを、自省をこめて私はココで指摘しておきたい。
各種調査を確認すると、先月の母の日では7割から9割の子供や家族たちが、お母さんたちにプレゼントを贈っている。母の日には花を贈るという習慣が根づいているからでもあるのだが、それにしても記念日における父母の扱いの格差がすごく大きい。この差はいったいなんなんだ、というくらいお父さんが下位にいる。
理由は、それぞれの家族や親子ごとに個々別々、そう簡単に一括りで言葉にできるようなことでない。とはいえ、ざっくり言えば、それだけお父さんがお母さんより家族や子供から遠い存在ということだ。父親である自分自身を省みながら、今夜もこうして家に帰っていないものな、「仕事だから」と家族を放っている時間が相当あるからそうなるよな、と認めざるをえないのである。
イクメンという流行語が、ブレイク仕切れずにいる。育児や家事に積極的な父親を肯定的にそう呼んだわけだが、それぞれフタを開けてみたら、結局、育児も家事もめんどうな部分を担っているのは母親だよな、というケースが多かったからである。「自称イクメン、笑わせないでよ」といった女性目線は、厳しく、正確に実情を捉えている。
けれども、だ。イクメン可能な労働環境にある人なんかほとんどいない。世の多くのお父さんたちは、総合職として会社にフルコミットして働いている。営業職なら接客酒や接客ゴルフが避けられない。さらに、家族に胸を張って説明できるような仕事だけをしているのでもない。当然、汚れ仕事も引き受けている。接待がなくても、飲まずにはやりきれない夜もある。だから、仕事の話を家に持ちこまないほうがいいと思っている。
〈そのかわり家のこともごたごた耳に入れるな〉と妻に対しては思っている。〈それでは夫婦で黙りっこをしているようなもので、なんのために一緒にいるのか分からない〉と妻は不満を覚えている。ふとしたはずみで浮気に走ってしまったこともある。
そんな両親を見てきた女子大生の娘は、もっと広い世界を見たいと願い、勇み足でつきあっていたアメリカ人留学生から乱暴をされてしまう。なのに、父は何も気づかず、母も自分を殺し、姉も事を荒立てないように振る舞っている。大学受験生の弟は、そういう嘘っぱちの家族が耐えられない。いい大学に入って、お父さんのようにバリバリ働いたって無意味だ、まっぴら御免だ、と受験勉強を投げ出している……。