映画も食事もおひとりさまにしていると語るのは、佐藤明子さん(66才)だ。
「主人は一緒についてきたがるんですけど(苦笑)、ひとりがいちばん楽しい。気を使うじゃない、どういう仲間でも。それに噂話や悪口って、面倒くさいし、言いたくないのに仲間にされちゃう。この年だから、そういうのはもう卒業したのよ(笑い)。その時間があるなら、ひとりでおいしい食事とお酒をいただいたほうが楽しいじゃない?」
3月、雑誌『クウネル』がリニューアルされ話題を呼んだ。「年齢を重ねても、心は青春のまま」と感じている50代以上の女性に向けて、内容が一新。同雑誌にはファッションデザイナーの島田順子さん、モデル・歌手・文筆家の甲田益也子さん、モデルの結城アンナさんら、エイジレスに輝く女性たちが登場している。編集長の淀川美代子さんは、かつてのシニアと今のシニアに、大きな違いを感じると言う。
「今のシニア女性たちは見た目も気持ちも本当に若く、7がけといわれています。60才の人が42才という換算。かつては年相応に、とおしゃれをするのをあきらめ、自ら老け込んでいきました。でも今は、いくつになってもキレイでありたい、という意識に変わっています。それが世の中に浸透したのは、2013年に発売された『アドバンスト・スタイル』からではないでしょうか」
『アドバンスト・スタイル』とは、ニューヨークで見つけた60~100才台のおしゃれ上級者を集めたスナップブック。その後映画化され、被写体となった当時80才のジョイス・カルパティさんなどは、『ランバン』などハイブランドのキャンペーンモデルに抜擢されたり、テレビ番組にレギュラー出演している。
いつまでもキレイであり続けることに決して執着するわけではなく、ごく自然に楽しむ。するといつのまにか生活も生き方も色鮮やかに輝き出す。その様子に同世代は衝撃を受けた。
一方で、20代の若者から、シニアに突入する直前の50代までの世界中の女性たちにとっては新たな“シニア世代のお手本”となった。
日本でも60代以上の女性のファッションスナップをまとめた『OVER60 Street Snap』が発売され、写真集としては、1年で異例の5万5000部を売り上げるなど大きな反響を呼んでいる。
※女性セブン2016年7月7日号