そうして到着した地域包括支援センターで、健康寿命トップになった背景を聞いた。森町役場保健福祉課課長補佐(兼)地域包括支援センタースタッフ長の平田章浩さんが言う。
「…何がいいかわからないんですよね。毎日のことが当たり前になっているので。何が特別なことかってわからないんです」
というものの、聞けば、実にさまざまな活動に取り組んでいた。例えば教育委員会が月1回開催している「平成学級」。高齢者を対象とした町民講座で、近隣から演者を招いてマジックショーや舞踊を行っている。
また国立長寿医療研究センターが作った、各自が自分の状態を確認できるチェックリストを用いながら、「脳活性化教室」も開いている。「運動教室」ではゴムチューブを使ってできる体操を指導したり、ノルディックウオーキングなどもする。
そんな話をしながら、ふと思い出したように同センター主任主査の三浦千晴さんが続ける。
「元気で長生きするためには“きょういくと、きょうようが必要だ”って言います。教育と教養ではありません。“今日、行くところがある”“今日、用がある”ということが大事と聞いたことがありますね。この町の人は、お風呂や『森のこかげ』に行ってしゃべるのが用事だって言ったりします」
『森のこかげ』とは、町の中心部にある町役場が募集した「元気もりもりサポーター」によって運営されている居場所(コミュニティーサロン)だ。
町民を対象に1年に1回募集している「元気もりもりサポーター」は、週1回、加齢について学んだり、認知症体験や足腰などを不自由にした疑似体験、コミュニケーションの講習を受けるなど、全7回の研修を経た人たち。彼らの中でサロンの手伝いをするなど、なんらかの介護支援ボランティアをした65才以上のサポーターは、1時間1ポイント、1日2ポイントまでを上限としたポイントがもらえる。
「1ポイント100円と換算され、最高で年間50ポイントを5000円として換金できます。これは介護保険料の負担軽減が目的で、それゆえ、対象者が65才以上となっています」(平田さん)
※女性セブン2016年7月14日号