小日向:秀吉の死因は諸説あるみたいなんですけど、秀次が死んだあたりから秀吉は精神的に不安定になっていて、4話かけてその兆候がひどくなっていく。天下を極めた男が、ある意味、無様に死を迎えていく姿が、徹底的に書かれています。

 今までの秀次は、わがままで暴力的な若者と描かれることが多かったんですけど、三谷さんの解釈は違います。もし秀吉の後を継いだらとプレッシャーや不安を感じ、叔父(秀吉)に対しての後ろめたさで、オドオドしてしまう。そこから誤解が生じるという。

 秀吉は秀次のことを憎んでいないし、むしろかわいがっているつもりだった。でも秀頼ができたことによって、齟齬が生じていくんでしょうね。年を取ってからの子って、秀吉にとって何ものにも代え難い宝だったと思うんです。だから秀頼が生まれて喜ぶだけでいいのに、秀次がなにかするんじゃないかって余計なことを考えて、それが秀次に伝わっていく。

――秀吉はどういう人生だったと思う?

小日向:木下藤吉郎から演じていないのですが、人間の欲の深さを感じます。だから天下統一をしても、いつもなにか満たされていない気持ちが常にあった。そして天下統一した後は、待ち望んだ子供ができたことによって、さらなる欲が生まれた。一方で、家康の影に怯えたのかもしれない。

 秀吉も天下統一を果たした人ですから、そういう感覚は鋭かったと思うんです。家康が常に不安材料だった。最後秀頼を残して死ぬっていうことに対して、家康の影に怯えた。

――今回の秀吉像の、どこが最も怖いところ?

小日向:自分の欲を満たそうとする時、その障害になる者に対しての苛立ちや怒り。でも一方で、自分の欲が満たされていれば、いつもニコニコしている人だったと思う。そういう意味では子供みたいな人ですよね。大人は理性で抑えたりするんでしょうけど、そのタガが最初っから外れている気がします。

 あとはやっぱり、人を見抜く目です。見抜かれてるなと思った人には、怖い存在じゃないですかね。

――真田家に対して厳しかったり優しかったり、差が激しい。

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト