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80年代のインプラント治療 顔の皮膚を突き破る恐れ

ブレードタイプのインプラント(右下。おざわ歯科医院・小澤俊文院長提供)

 介護現場などで、認知症や寝たきりのお年寄りのインプラントが大問題になっているという。高齢になると、自分の歯を失い、長持ちしたインプラントの人工歯だけが残るケースがある。歯科の専門的ケアがされていない介護施設では、歯が先にボロボロになり、インプラントも痛む。

 しかも認知症の高齢者には「食いしばり」をする傾向があるので、残ったインプラントの人工歯が、歯茎に突き刺さって、血だらけになってしまう人もいるというのだ。

 高齢者には他にもインプラント・リスクが存在する。1980年代、日本に第一次インプラントブームが起きた。当時、よく使用されていたものにカミソリのような形をしたブレードタイプがある。
 
 このタイプは骨と結合せず、長期間経つと歯肉や骨に炎症を起こすケースが多いことが分かっているが、現在でも一部の歯科医が使用している。
 
 ある高齢者の場合、ブレードタイプのインプラントが顔の皮膚を突き破って出てきた。“手術当時の医学的知見では、妥当な歯科治療だった”と歯科医やメーカーは主張するかもしれないが、個人で背負うにはあまりに大きな代償だ。

 現在広く行なわれているチタン製のインプラントにおいても、予測しない事態が起こるかもしれない。

●レポート/岩澤倫彦(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2016年7月15日号

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