ただ、親孝行したい時に親はなし、でね。そんなおふくろに1回も、感謝の言葉を伝えられなかったことがつらいです。もっともっと、「おふくろのおかげですよ」と言えばよかった。
平成9年に初入閣した際も、「これから大臣になるぞ」って、党本部からおふくろに電話をしたんです。きっと、大臣って言われても、何のことだかわからんかったんではないかな。でも「テレビ見とけ」なんて勝手に電話を切ってしまって、「ありがとう」と言えなかった私はバカだったなぁ。他人にはたくさん感謝したけど、おふくろは身近だったからね(落涙)。
おふくろの最期の言葉が「母ちゃんは悪いことをする子供は産んでいない。宗男、もう1回国会へ行け!」という励ましでした。それで新党大地を立ち上げ、国会に戻ることができました。
来春に公民権が戻ったら、今一度国政選挙に挑戦して国家国民のために頑張ります──。4月の命日に、13回忌を迎えたおふくろの墓前にそう誓いました。
●すずき・むねお/北海道生まれ。1983年、衆議院議員に初当選。1997年に第2次橋本改造内閣で入閣、1998年に小渕内閣官房副長官。2005年、新党大地結成。著書に『外交の大問題』(小学館新書)。
※週刊ポスト2016年7月22・29日号