アリババは蘇寧との提携によって「OtoO(O2O)」(Online to Offline)、少し古い言葉だと「クリック&モルタル」──すなわちネットとモルタル(実店舗)を組み合わせて相乗効果を生み出すことで、さらなる成長を目指しているのだろう。

 だが、そのアリババが国境を越えて世界に広がるかといえば、答えは「NO」だ。資金力の点ではどんな会社でも買えるだろうが、eコマースの場合、実は国境を越えて成功した企業は少ない。その国の言語に非常に依存するし、国ごとに消費者の嗜好や購買行動が大きく異なるからだ。

 たとえば、日本の楽天も海外では大苦戦し、次々と撤退している。私は楽天が約920億円で買った無料通話アプリのバイバー(Viber)という会社をベラルーシで見学した際に「楽天の役割は何ですか?」と質問したら、楽天は買収しただけで経営らしいことはできていないらしく、「何も指示されていないので、わかりません」という答えが返ってきた。

 ことほどさようにネット企業が国境を越えるのは難しいのである。アメリカ企業でありながら日本で成功しているアマゾンなどは極めて例外的なのだ。したがってアリババ+蘇寧の「王者連盟」も、基本的には中国国内に限定されると思う。

※週刊ポスト2016年8月5日号

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