「任天堂はナイアンティック社にも出資をしていますし、仮に同社が上場でもするようなことになれば、間接的に任天堂の企業価値は増大するでしょう。
何よりも、前述した100億円には広告収入がまったく織り込んでいません。今回、国内配信にあたり、マクドナルドと提携して店舗を『ポケストップ(ポケモンをゲットする場所)』や『ジム(陣地としてポケモンを育てたり対戦したりする場所)』に設定。全国の店舗に多くのユーザーが群がる事態となっているように、ポケモンGOは絶大な“集客ツール”として利用できます。
アメリカではマックのような大規模な企業でなくても、小さな小売店や飲食店がポケストップに設定され、多くの集客を誇っています。今後、日本でも任天堂が主体となって広く薄く広告費を集めるようなビジネスモデルが完成すれば、収益は莫大に膨れ上がる可能性があります」(安田氏)
スマホの1ゲームタイトルが広告市場の“常識”をも変えてしまいそうな勢いだが、広告効果も加味した場合、任天堂の業績にどの程度貢献できるのか。
「そこまでは予測不能です。なにしろ配信からわずか2週間で世界中を虜にしてしまったゲームなんて過去に例がありませんし、熱中している年齢層もじつに幅広く、今後どこまで普及が進むのかも見当がつかないほどのブームとなっていますからね。
しかし、中長期的な任天堂の商売や株価にとっては、プラスに働くことだけは間違いありません。すでに世界中で数億人の人たちが任天堂とポケモンを認知したので、今後、任天堂から出されるスマホゲームに関心が集まるのはもちろん、既存の『ニンテンドーDS』や発売前の次世代ゲーム機『NX』に触れるユーザーも確実に増えるでしょう」(安田氏)
アナリストの予測さえ不能にさせるポケモンGOの一大旋風。これまで据え置き型ゲーム機で成長し、スマホゲームには消極的だった任天堂がこのブームを機にどう変貌を遂げるのかも、同社の今後を占う大きなカギとなるだろう。