だが、「誰にでもできるような仕事」で再雇用された人は大変だ。とくに現役時代に部下を偉そうに叱っていた人は、かつての部下から嫌味をいわれたり、無視されるなどの憂き目にあいかねない。
「同期で再雇用されたヤツは、元部下だった上司に疎まれ、他の社員に『あの人とは話をするな』というお触れを出された。彼は居心地が悪くなり、最長5年の延長ができるのに2年で辞めていきました」(メーカーに再雇用された62歳男性)
神田や新橋などのビジネス街近くの繁華街では、夕方5時過ぎから飲んでいる60代らしき背広姿が目立つ。残業のない再雇用組だ。
「最近は別の部署で再雇用された連中と、仕事終わりにしょっちゅう飲んでいる。みんな職場では辛い思いをしていて、家にも早く帰りたくない連中ばかり。毎回、年下の上司の悪口で盛り上がります。
でも、ついつい飲みすぎてしまい、再雇用で半分近くに減った給料はほとんど飲み代で消えてしまう。女房にも小言をいわれてばかりで、ホントに『オレは何のために働いてるんだろう』って思う」(運送会社に再雇用された63歳男性)
※週刊ポスト2016年8月5日号