「成人式のとき、袴を着た地元の仲間たちと軽トラの荷台に乗って一升瓶の日本酒を回し飲みしながら町を走ってましたね。その軽トラが駅前でひっくり返って、えらい騒ぎになってましたよ。暴力団だとか愚連隊だとか、そういうのではありません。ちょっと強がって不良ぶっている感じ。地元のつきあいの長い仲間たちとつるむ、いわゆる“マイルドヤンキー”でした」(前出・別の友人)
「津久井やまゆり園」に非常勤として働き始めたのは2012年12月。翌年4月に常勤の社員となった。ところが昨年1月末、ツイッターに背中の刺青写真をアップし、《会社にバレました》と書き込んだ。
そして、今年2月19日に突然退社している。その日、彼は《会社は自主退職、このまま逮捕されるかも…》と書き込んでいた。全国紙社会部記者が言う。
「この2月18日の勤務中に“重度の障害者は安楽死させたほうがいい”と発言したので、翌日に施設は警察に通報、市は20日に彼を緊急入院させました。その時、尿から大麻の陽性反応が出た。診断は大麻精神病や妄想性障害。その後、反省の弁があったので、家族と同居するという条件で退院させたんです」
しかし彼は退院後も家族とは暮らさず、一人暮らしを続けていた。なぜその時に刑事事件にならなかったのか──。植松容疑者は学生時代から薬物を常用していたという。
「大学時代からだと思いますが、地元・相模原のクラブで、うつろな眼をしている植松くんをよく見かけました。彼はヒップホップやレゲエ音楽が好きで、よくクラブに来ていましたが、そこで合法ドラッグを吸っていたんです」(前出・別の友人)
犯行のあった26日夕刻、植松容疑者の父親に直撃すると、「私たちにもまだ何もわかりません」と言うのみだった。幼い頃から植松容疑者を知る地元住民が言う。
「この集落周辺の人々は、52年前にできた『やまゆり園』に経済的に依存しているところがあります。住民の雇用先であり、理髪店や食料品店などにとっては取引先です。もしかして植松くんは、“やまゆり園の入居者たちに自分の大切な地元が支配されている”という妄想を抱いたのかもしれません。だから、知的障害者の人に敵意を抱いたのか…」
犠牲者は無抵抗の知的障害者ばかりだった。躊躇なく刃をつきたてる26才の青年。日本社会の抱える闇は深い。
※女性セブン2016年8月11日号