ライフ

夏の風物詩・そうめん献立数で全国1位なのは意外にも沖縄

そうめんの食べ方いろいろ(写真:アフロ)

 夏の食卓を涼しくするそうめん、その食べ方はつゆと薬味だけでいただくものとは限らない。全国ではさまざまな調理法が、意外な地域で開発されていた。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 夏といえばそうめんだ。冷たいつゆに、ねぎ、しょうが、みょうがなどの薬味を散らす。そこにきりりと冷水で締めた麺をちょんと浸し、ちゅるんとすする。暑い日でも涼が取れ、心地いいのどごしから、つゆの汁ハネまでもいかにも夏らしい。

 しかしものの本から、昔のそうめん事情をひもといてみると、意外なことがわかる。大正~昭和初期の全国各地域の食生活を聞き書きした農文協の『日本の食生活全集』に、「そうめん」という記述自体は北海道から沖縄まで登場する。記述が多いのは、圧倒的に関西以西だ。

 意外なことに名産地として知られる、奈良県桜井市(三輪そうめん)や、兵庫県たつの市(播州そうめん)よりも、四国、九州といった地域が多く、一般的な「そうめん」とは異なる調理法も数多く登場する。前出の『日本の食生活全集』全50巻から、献立名に「そうめん」とついた品名の数で比較してみた。結果、上位3県の顔ぶれは、意外や意外……。

第一位 沖縄県 11品

 今も常食されている「そーみんちゃんぷるー」といった一般的なメニューのほか、「揚げぞーみん」、「かぼちゃとそうめんの味噌汁」など幅広く使われていたことがわかる。「そーみんぷっとぅるー」という耳慣れない呼称のメニューもあるが、「ぷっとぅるー」とはでん粉由来の素材を油で炒めたもの。これも地域によって作り方が異なる。本島の那覇あたりでは、ラードでそうめんとネギを炒め、塩で味付けするものだが、宮古島では「いわしの缶詰か煮干しだしを入れて味噌味にした焼きそうめん」となる。

第二位 長崎県 8品 

 島原そうめんの産地でもある長崎では、そうめん文化は深く根づいている。寛永14(1637)年の島原の乱の後、小豆島から移住してきた人たちを中心にそうめんづくりが始められたのがその端緒だという。干潟で取れる貝の出汁で煮込んだ「あげまきぞうめん」のほか、煮干しやクジラを出汁にして煮付けたかぼちゃにそうめんを入れて煮込んだ「ぶなぞうめん」なども。ちなみに「ぶな」とはかぼちゃのことを指すが、長崎では「ぼぶら」とも呼ばれ、「ぼぶらぞうめん」という記述も確認できる。そのほか、鍋に沸かした湯でぐつぐつ煮えたそうめんをめいめいが取り、生醤油やゆず胡椒で食べる「地獄ぞうめん」など、現在も地元に受け継がれる品も多い。

第三位 徳島県 7品

 徳島のそうめんは汁物である。一般的な「そうめん」「冷やしそうめん」「きゅうりとそうめんの味噌汁」「そうめんとなすの味噌汁」というように夏場に実をつける野菜とともに味噌汁の具として使う品が目につくが、「そうめんのふしの汁」のように正月料理に登場することもあったという。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン